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極細木スガ子のきっぱり言うわよ!

声業界伝説のマネージャー極細木(ごくぼそき)スガ子。酸いも甘いも噛みわけたその経験で、誰も言えなかったことを、今宵も〈きっぱり〉と斬っていく。「事務所の深い落とし穴編」「堕ちたマネージャーたち編」などプロ必見の連載。


プ┃ロ┃に┃な┃る┃瞬┃間┃
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ナレーターインタビュー小さな奇跡

この物語はトッププロたちの華やかなデビューストーリーではありません。
あなたの身近にいる、ナレーターになりたい人達がプロになっていく過程のささやかなお話。

新人ナレーターたちが初めての仕事をつなげていけた瞬間の”小さな奇跡”を綴った実録インタビューです。


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4きっぱり目
「やっぱり心うたれる事も、ある訳ヨね」

2006年8月3日 ナレーターメルマガ16号より転載

「ワタクシ達にとっては〈信頼〉も実力と同じように大切なのヨ。確かに厳しくしつけたけど、それはそのコが根性と信頼を見せてくれていたからできた事なの」

この業界の女帝が、日々の業務の合間を縫ってでも相手をした新人とはいかなる人物なのか。
そしてまた、この女の食指を動かしえたその所以とはなんだったのか。
止んだ雨は、霧となって、ステンドグラスのように街あかりを分散させている…


『ワタクシが、新人を抜擢するポイント、知りたぁい?』
「そりゃ~もう!このインタビューを読んでくれている読者のみなさんも、そこが一番知りたいポイントです」

 

『ワタクシの耳と目の届くところにいてくれるかどうかが、そのポイントだったかもね』

「耳と目の届く、ところ……」
声業界の女帝と呼ばれた女、極細木(ゴクボソキ)はゆっくりとした間をとって語り出す。
『ワタクシの場合、まず好きなのが〈声のインパクト〉なのよ。ちゃんと存在感のある良い声が好きなのよ。ボイスサンプルは新人とベテランの区別無く山のように積まれていているワケ。その中できらりと光る声とセンスで作ったサンプルに耳が行くのよ。これが耳にちゃんと届くってことなのヨ』

「なるほど…では目の届くというのは……」
『こんなに優しそうなワタクシでも、新人から見ればかなりおっかない存在らしいのヨね。前回語った、ゴールデンウィークまでの新人の挨拶周り覚えてる?事務所にお百度踏む子達も、たいていはゴールデンウィークを境にぱったり来なくなるのよ。その後も心折れずに日参して、おっかなさを乗り越えてワタクシの所へアピールしに来たコは、かわいがってあげたワよ。人数が減ったそのころになってようやく、目が届き始めるってことかな。ド根性って訳でもないけどね、やっぱり心うたれる事も、ある訳ヨね』

ここで私は再び混乱する。
いったい、マネージャーの原理原則とはいかなるものなのだ。結局、ここでも精神論なのだろうか。だとすれば。
私はあと一体、どれほど頑張らなくてはならないのだろうか…


『でもそうねぇ…だから、とも言えるけど、ワタクシ達にとっては〈信頼〉も実力と同じように大切なのヨ。ワタクシがしつけた新人は、本当によく応えてくれたと思うワ。確かに厳しくしつけたけど、それはそのコが最初に根性と信頼をちゃんと見せてくれていたから、できた事なのヨ。そのコ、今じゃレギュラーたくさん持ってるけど…ほんと、プレイヤーが売れて行く姿をみるのは…いくつになっても…嬉しいものよネ…』

極細木が金ぴかの差し歯をちらりとみせたように見えた。
この懐の深さをが、彼女を女帝と呼ぶことに説得力を持たせているのであろうか。
そして私は己の視点の狭さに居心地の狭さをかくせない…


『ワタクシも天下の極細木です。信頼できて傍にいる新人には、できる事はさせてもらうわヨ。』
「では…やはり〈マネージャーに好きになってもらう・信用してもらう〉ってことが大事なんですね」
『でも、そこで終わっちゃダメなのよ、山ちゃん。』
「?」
『覚える、信頼できる、ってのは、難しい事は理解できるけど、いわば当たり前の事でしょう?その後にはまだ〈3つの関門〉があるのヨね』
「3つ…。先生、それは一体……?!」


身を乗り出す筆者に極細木は言う。
『あー。どうしよっかなー…そろそろ帰らないと、疲れちゃったナ~。今日もいっぱい働いたしワタクシ。あ~、なんか腰が痛いしな~…座り疲れちゃったぁ』


この女どこまで狸なのか…
私は女帝と呼ばれる女のその腰に手をやって、ゆっくりと揉み始めていた…。


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