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ナレーターインタビュー小さな奇跡

この物語はトッププロたちの華やかなデビューストーリーではありません。
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新人ナレーターたちが初めての仕事をつなげていけた瞬間の”小さな奇跡”を綴った実録インタビューです。


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マネージャー小窓王の「改編の狼」
#6 牙を研ぎすませろ!

2006年12月14日 ナレーターメルマガ35号より転載

ただ仕事と金を逃がしてしまうことを恐れて向上しようとしない。
同じ所をぐるぐる回っている二十日ねずみだと思った。


<10月初旬>

『どうした、ここんところ元気がないようだけど』
わたしが抱えている不安を見透かしたかのように、大窓王が声をかけて来た。
「新番組がすこしずつ決まって入るんですが、出足が遅いような気がして・・・」
『私にだって不安は有る。でもお前は信じていないのか?velvetのプレーヤーの力を』
「信じてます!みんなすごいプレーヤーだと思っています。でも・・・」
『だったら待ってればいいんだ、結果はおのずとついてくる。そんなに焦るな(笑)』

大窓王の思いがけない優しさに、少しだけ目頭が熱くなった。と同時に改めて大窓王の鋭さに驚いていた。私のほんの些細な変化を見逃さない洞察力。プレーヤーたちや作り手にもその鋭い視線は注がれている。それがトップマネージャーである大窓王の強みなのだと思う。
大窓王は続けた。
『新番組と言う獲物はふとしたときに目の前に転がり出てくる。そのときのために狼の牙を研ぎすましておくんだ』


<10月中旬>

秋の番組が出そろう頃には、きれいにスケジュールがうまってきた。

そんなころ、久しぶりに昔いた大手事務所のマネージャーとばったり会った。
『いや~忙しい忙しい。今週も休めなさそうだよ~どおそちらは?』
忙しいことが自慢の相変わらずの会話だ。そういえば、昔は彼と同じ会話をしていた。


『あの番組のナレーターが体調崩しちゃってね・・・スケジュールがひどくてギャラも安いんだけどね~そんなんで、忙しくって~』

「えッ!条件交渉してないの?」

『しなきゃいけないんだけどね・・・何か言って切られたら困るでしょ。レギュラーなんだから売り上げになるし。いまはどこもギャラ叩いてくるでしょう』

「うちはスケジュールもギャラもちゃんと頂いてるよ。あの番組だったら○○万円くらいもらってるよ」

『そんなにもらえるわけないよ、冗談はいいからww』


まったく話が噛み合なくなっていた。数年前まで彼と全く同じ考え方をしていた。いつのまにか気がついたら、昔の仲間と全く違った地点にいた。いまとなっては彼の言っていることは、マネージメントだとはとても思えない。

忙しいということを言い訳に、本来的にやらなければいけないことから逃げている。
プレーヤーが体調を崩すほどの過酷な条件に対して闘おうともしていない。それに対するギャラの交渉もしていない。ただ仕事と金を逃がしてしまうことを恐れて、向上しようとしない。おなじところを忙しそうにぐるぐる回っている二十日ねずみだと思った。

その時、気がついた。私は大窓王から牙をもらった狼になっていたのだった。
それはプレーヤーを守るためにも必要な牙だった。

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